店内のBGMが消えると、足達さんのカウントで、アルバムの1曲目「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」の演奏が始まった。
マサキさんがリッケン・ベースを弾きながら勢いよく歌い、大ちゃんとチャーリーさんがコーラスを入れていく。客席からの拍手と歓声も加わり、よりアルバムに近い流れで、「With A Little Help From My Friends」が続いた。今度はリンゴ役の足達さんがほのぼのとしたメロディーを歌っていく。
「With A Little Help From My Friends」が終わると、キーボードの黒岩さんがイントロを弾いて「Lucy In The Sky With Diamonds」へ移っていった。大ちゃんが物語を話すように歌い出し、自然に幻想的な世界へ引き込まれていく。
次もポールのナンバー。黒岩さんがキーボードでイントロを弾いて「Fixing A Hole」が演奏された。この歌詞にあるように、彷徨っているような不思議な曲調で、こうしてアルバムの曲順通りに聴いていくと、サージェントにはいろんな曲が詰まっていることを改めて感じた。
「Fixing A Hole」が終わると、マサキさんがご自身の今日の髪型について話し始めた。なんでも、今回のために美容師さんにサージェントの時のポールの写真を見せ、その髪型(かなり短めな前髪)にしてもらったのだそう(ちょっと勇気が必要だったそうです)。
そして、サージェント・ヘアースタイルの話題の後には、次の曲の解説も忘れない。次の曲「She's Leaving Home」は、ジョージ・マーティンではなく、マーク・リンダという人がアレンジを担当した事などのエピソードを紹介してから演奏へ。
イントロのハープの音色は、チャーリーさんによるギターで再現され、優しいメロディーを子守歌のように歌っていくマサキさん。そして黒岩さんが弾く優しいストリングスの音も一緒に会場を包み込んでいった。
次はジョンがヴォーカルをとる「Being For The Benefit Of Mr.Kite」。大ちゃんの力強いヴォーカルと共に、次々にいろんな音が飛び出し、まさにサーカスの曲芸を観ている感じがしてくる。そんな演奏に耳を傾けていると、間奏では天井からたくさんの風船が落ちてきて、よりファンタスティックに!
「Being For The Benefit Of Mr.Kite」が終わると、キーボードの黒岩さん以外のメンバーが持ち場を離れ、ステージ上で大移動が始まった。
足達さんはドラムを離れステージ前でインド楽器、タブラを、大ちゃんはステージ左のキーボードへ、マサキさんはドラム席に移動しタンブラーを用意し、チャーリーさんは椅子に座ってエレクトリック・シタールの準備をしている。
次の曲は、今まで普段のステージでは演奏されていなかったナンバーという事もあり、ステージ上も客席もピンと空気が張りつめる。
が!その準備の間、珍しく黒岩さんがMCを担当し、黒岩さんの優しい語り口調に、会場全体がほんわかと和んだ。そして、いよいよ「Within You Without You」へ!
次は、大ちゃんが歌うジョンのナンバー「Good Morning Good Morning」。ニワトリの鳴き声も再現されて演奏が始まった。足達さんのドラムもアクセントになり、賑やかな曲がより躍動感と迫力を増してカッコよかった。
「Good Morning Good Morning」が終わり、残すところあと2曲となったアルバム特集。大ちゃんが、「もし、みなさんからのご要望があれば、その2曲の他にサージェントと同じ頃に作られた大作も準備していますので、、」などとアンコールも可能です!というお知らせをしてから、「Spt. pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)」が演奏された。
スピード感のある「Spt. pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)」が終わると、客席からの拍手の間にギターチェンジをする大ちゃん。アコースティック・ギターの準備が出来たところで、そのまま「A Day In The Life」が続く。
賑やかな「Spt. pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)」の音がまだ耳に残る中、この曲では一変。ゆったりとしたアコースティック・ギターで始まり、大ちゃんが丁寧に歌っていく。曲の最後には、賑やかな Show が終わった事を告げるかのように、ピアノがガーンと鳴り、アルバム特集が終わった。
客席からは、アンコールを求める拍手が続き、その拍手に応えて、ファイアーグロウズからのサービス曲「You Know My Name」が演奏された。
特徴ある歌声や、リコーダー、カズーなどを使いながらの演奏に、観客の笑い声も絶えない。そんなナンバーで、特集ステージは楽しく締めくくられた。
アルバム「Sgt.pepper's Lonely Hearts Club Band」は、ひとつの“Showと”して創り上げられた、斬新で奇抜なアルバムとしても知られている。
そんなアルバムを1曲目から、“Show”の中ではアンコール曲として収録されているラストの「A Day In The Life」まで、曲順通りに演奏してくれたファイアーグロウズ。そのライブは、あの空想の世界を現実にしてくれた夢のような一時だった。