10. The Long And Winding Road
(ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード)
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LET IT BE
「レット・イット・ビー」
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THE BEATLES 1967〜1970
「ザ・ビートルズ 1967年〜1970年」
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ANTHOLOGY 3
「ザ・ビートルズ・アンソロジー3」
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THE BEATLES 1
「ザ・ビートルズ 1」
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LET IT BE ...NAKED
「レット・イット・ビー...ネイキッド」
11. For You Blue
(フォー・ユー・ブルー)
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LET IT BE
「レット・イット・ビー」
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ANTHOLOGY 3
「ザ・ビートルズ・アンソロジー3」
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LET IT BE ...NAKED
「レット・イット・ビー...ネイキッド」
12. Get Back
(ゲット・バック)
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LET IT BE
「レット・イット・ビー」
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THE BEATLES 1967〜1970
「ザ・ビートルズ 1967年〜1970年」
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PAST MASTERS VOLUME TWO
「パスト・マスターズVol.2」
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ANTHOLOGY 3
「ザ・ビートルズ・アンソロジー3」
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THE BEATLES 1
「ザ・ビートルズ 1」
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LET IT BE ...NAKED
「レット・イット・ビー...ネイキッド」
(encore)
13. Two Of Us
(トゥ・オブ・アス)
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LET IT BE
「レット・イット・ビー」
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ANTHOLOGY 3
「ザ・ビートルズ・アンソロジー3」
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LET IT BE ...NAKED
「レット・イット・ビー...ネイキッド」
ターコイズによるアルバム特集は、2001年の「ABBEY ROAD」特集を皮切りに、「RUBBER SOUL」特集、「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」特集、全員が黒いタートル姿で登場した「HELP!」特集などなど続き、今回の「LET IT BE」特集で既に第11弾となる。そのアルバムの曲順通りに演奏され、曲の解説などもあり、どっぷりとそのアルバムの世界に浸れる、とても楽しみな企画のひとつだ。
「LET IT BE」というと、アップル・ビルの屋上でのライヴ、スタジオでのセッション、などが思い浮かぶが、果たしてターコイズは、その曲たちをどうやって演奏してくれるのか。
通常のステージが終わって、しばらくするとビートルズスーツから、それぞれの衣装に着替えたターコイズのメンバーが現れた。特に目を引くのがポッキーさん(ポール役)!髭を蓄えて、「LET IT BE」のTシャツの上に黒のベストを着ている。まずは、アコースティック・ギターの準備をしているが、ステージ上には、“BASSMAN”のステッカーを貼ったヘフナー・ベースも用意されており、良く見るとそのヘフナーには黒い弦が張られていて、すっかりルーフトップ仕様になっている!そんな、思いっきりあの頃のポールを意識した登場に、ワクワクしてくる。
「LET IT BE」のアルバムを聞くと、まず聞こえてくるジョンのジョーク。それをジョン役の大ちゃんが、しっかり笑い声まで再現してから、「Two Of Us」が演奏された。ポッキーさんがアコースティック・ギターでイントロを弾き始めると、大ちゃんもアコースティック・ギターで心地良い音色を響かせる。終始ポールとジョンがハモるヴォーカルも美しかった。
最後は大ちゃんが口笛をキメて「Two Of Us」が終わると、ポッキーさんがご挨拶。「どうも、お待たせいたしました。今日の2回目のステージは、お知らせしましたとおり「LET IT BE」のアルバム特集をお送りします。ターコイズはアルバム特集はよくやってましてね。」と話すと、そこで大ちゃんが「難しいところだろ、「REVOLVER 」とか「WHITE ALBUM」とか「ABBEY ROAD」もやりましたね。もぉどうやって演奏したかも覚えてないんですけれども、全部ちゃんと演りましたよね。」と自慢げに語った(た、た、確かに「Revolution 9」もターコイズ流に演っていたのを記憶しています。。。)。
ポッキーさんが、次の曲を紹介する。「次はジョンの曲で、ルーフトップで(LET IT BE の)映画では演っていましたね。3拍子のナンバーからいってみたいと思います。「Dig A Pony」。」と言うと、大ちゃんのカウントで、フロント3人が息を合わせてイントロのフレーズを弾いていく。大ちゃんはエピフォン・カジノ(ギターの種類)を弾きながら熱唱した。
続く「Across The Universe」ではシンプルなサウンドなのに、ジョンの世界観のようなものが、わぁーっと溢れるように広がる。その雰囲気に浸っていると、エンディングの“Jai Guru De va”と繰り返されるマントラでその世界が、すーっと遠くに消えていくような感じがした。
その後は、インパクトのあるヘヴィーなギターで始まる「I Me Mine」へと続き、今度はチャーリーさん(ジョージ役)がヴォーカルを取る。
「I Me Mine」の後は、ポッキーさんがピアノへ移り、大ちゃんがベースの準備をする。その間、チャーリーさんがMCを担当。「どうも、ありがとうございます。僕・僕・僕というナンバーをお送りしました。ほんとはね、アルバムにはMCなんて入ってませんからね、ほんとは続けていきたいんですけれども、「LET IT BE」は特に楽器編成が入れ替わりますので、どうしてもMCが多くなってしまいますけれども。えー、楽器のことをちょっと話しますと、ジョージは、ほとんどこのアルバムでは、フェンダーのテレキャスターですね。オールローズ。それをメインで使ってたんですね。ぼくは今日ストラトキャスター使ってますけれども、この楽器は(「LET IT BE」では)ほとんど使われていません。何故テレキャスターを使わないかと言うと、、、、持ってないからなんですねー。オールローズのテレキャスターは(値段が)高いんですね。ちょっと手が出ないです。。。さて、次の曲は大変短い曲で、50秒くらいしかない曲なんですけれども。「Dig It」です。長いセッションの中で50秒切り取ったという曲ですけれどもね。その曲から2曲続けていってみたいと思います。」
大ちゃんがベース(フェンダーの6弦ベース)を弾きながら、繰り返すメロディーを叫ぶように歌う。大ちゃんは始めのMCで「細かいところまで拾って演ろうかなぁと思いまして、「LET IT BE」は、普段もぉ何百回と聴いていますけど、今回改めて聴いてみますと、曲の練習よりセリフの練習の方が多かった!特にジョン・レノン!」と話していたが、この「Dig It」の最後にある、次の曲を紹介するジョンのセリフも、高音のかわいらしい声で見事に再現してくれた。
その後、ポッキーさんがゆっくりとピアノを弾き始めて「Let It Be」が演奏された。普段のステージでも演奏されているこのナンバーも、こうしてアルバムの順番通りに聴くと、さらに気持ちが高まってくる。
この曲は、ジョンがベースを弾いているため、ターコイズもジョン役の大ちゃんが、フェンダーの6弦ベースを弾く。
そして、チャーリーさんが弾く、研ぎ澄まされたギター・ソロ、演奏に乗せて、流れるようなメロディーを歌うポッキーさんの歌声を聴いていると、まるで当時(1969年1月)のビートルズのセッションに立ち会っているような気分になった。そんな37年前の光景を想像しながら、今でも色あせることのなく、脈々と歌い継がれているこの名曲に浸った。
荘厳な「Let It Be」の後は、足達さん(リンゴ役)が進行する。「 今日は「LET IT BE」の特集という事でね、リンゴの曲は入っていないんですけれどね。あのぉ〜、変わりにMCが回ってきましたのでね、しゃべらせていただこうと思います。いっつも何しゃべってるかわからないと言われますのでね、今日は台本を書いてきました。」と言って用紙を取り出し、その台本を結婚披露宴の司会者のように、丁寧にゆっくりと読み上げ始めた。 「続いてお送りするナンバー「Maggie Mae」なんですけど、この曲はですね、なんと1曲38秒という、とても短い曲になっております。しかも、ビートルズのオリジナルではなく、カヴァー・ナンバーという事で、え〜、誰が作ったかわかりません。この曲の由来なんですけど、リヴァプールの船員さん達が歌っていた曲でね、ビートルズがビートルズと名乗る前、デビュー前ですね、その頃からウォーミングアップでよく歌っていた曲です。曲の特徴としてはですね、ベースが入ってません。。。もう既に曲の38秒を超える長いMCになってしまいましたので、このへんで終わらせていただきたいと思いますぅ。」と足達さんが話し終わると、客席からは、笑い声と共に大きな拍手が起こった(力強いドラムとは対照的で、しゃべる足達さんは和み系なのです)。
「Maggie Mae」の後、ポッキーさんが「それでは、今度はルーフトップで演ってた、ポールの“Get Back、原点に帰ろう”と言った言葉通りの、ライヴ感あふれる曲が続くわけですけれども、次の曲はポールの曲とジョンの曲を見事に合体させた、そんなナンバーです。「I've Got A Feeling」。」と紹介。
大ちゃんがイントロのギター・リフを弾くと、ポッキーさんが徐々に絶叫しながら歌っていき、足達さんの迫力のドラムがこの曲をグッと引き締める。曲の後半、ジョンとポールが同時に、それぞれ別の歌詞を歌いながら、エンディングに向かうところもまた印象的でカッコいい。
続けて演奏された「One After 909」では、ユキエちゃん(今日はビリー・プレストン役)の軽快なピアノも効いて、元気に盛り上がる。最後には大ちゃんが「ダニー・ボーイ」を歌って、アルバムと同じように終わった。
今度はチャーリーさんがMCを担当。「では、次は、またまたピアノの方にポール役のリーダーが行きまして、静かなナンバーにいってみたいと思いますけれども。「LET IT BE」のプロデューサーはフィル・スペクターですね。。。デーブ・スペクターじゃないですよ。え?寒いですか?スミマセン。。。そのフィル・スペクターがオーケストラを被せたらポールが怒ってしまったという有名なナンバーですけれども。「The Long And Winding Road」ですね。この曲をいってみたいと思います。」と、クールに話している中にも、面白ギャグをビクビクしながら加えて進行するチャーリーさんであった。
チャーリーさんから曲が紹介されると、ポッキーさんは、ピアノを弾きながら「The Long And Winding Road」を歌う。この歌い出しの1フレーズだけで、一瞬にして引き込まれてしまう。先程、チャーリさんのMCで話題になったストリングスは、ユキエちゃんが優美に再現してくれた。
「The Long And Winding Road」の余韻が漂う中、足達さんが、次の曲の解説を始める。「はい、ありがとうございます。もう、このアルバム特集も最終段階に入ってきてまして、残すところあと2曲になってしまいました。ハイ、皆さん楽しんでいただけましたでしょうか?(また台本を取り出して)えー、続いてお送りするナンバーはですね、ジョージ・ハリスンの曲を1曲お送りしたいと思います。曲名は「For You Blue」。ジョージ・ハリスンが(ビートルズを)解散して「ALL THINGS MUST PASS」(というアルバムを)作ってますけど、そのあたりに入ってもおかしくないんじゃないかという曲ですね。ジョージに聞いたんですけど、なかなか曲名が決まらなかったそうですね。最初の曲名は「George's Blues」。一応ね、12小節なんでブルースなんですけれども。その次にジョージが思いついたのが、「Because you're sweet and lovely」。曲の頭の歌詞ですね。これでしばらくいったそうなんですけれども、そのうち「For You Blues」、そのあと「For You Blue」になりました。ハイっ。終わりです。」と最後は、大ちゃんから「楽器の準備が出来た」と急かされ、台本にはない想定外のツッコミに、動揺し慌ててMCを終わらせる足達さんだった。
「For You Blue」が終わると、ポッキーさんが「カッコいい曲ですね。ジョージもなかなか渋い曲を作りますけれども、チャーリーのヴォーカル・ギターでお送りしました。という事でですね、早いもので次の曲を持ちまして今回のイベントは最後となります。今回のイベントはセリフもかなり苦労しましたしね、僕なんかはポールのイベントが6月にあったんですけれども、それが終わったら髭を剃ろうと思ってたんですけれども、その後に「LET IT BE」の特集をやる事が決まりまして、髭を剃れなくなりました。むさ苦しい梅雨の時期、かなりしんどい思いをしましたけれども、、、。あと、今回はポスターをね、」
と、「LET IT BE」のアルバム・ジャケットを模して作った、今回のターコイズ版「LET IT BE」ジャケットのポスターに話題が移ると、チャーリーさんが、「前から似てる似てるって言われてましたけど、寄本さんはそっくりですよね。ボクと足達くんなんか気持ち悪いとか言われて・・・。」とポツリとこぼした。大ちゃんからも「ものすごくウソくさいよね。」とか「でも、チャーリーいい笑顔してるよね。」などと意見が飛び交う中、ポッキーさんが締めの挨拶に入る。
「かなり攻撃の高いポスターになりましたけれども、、、。盛り上がってきましたが次の曲で最後になります。が、なんと今日はもしかしたら特別に何かがあるかもしれないです!「LET IT BE」の映画ではいろんなヴァージョン、完成するまでにいろんなテイクが存在するんですけれども、もし皆さんのご希望があれば、そういったのがあるかもしれませんのでね。。。では、今日はありがとうございました。(この後に)もう1回(通常の)ステージがありますので、ゆっくりしていっていただきたいと思います。では、最後の曲は、(アルバムのタイトルが)「LET IT BE」ではなくて、もともとはこの曲のタイトルになるはずでした、「Get Back」。」と、まだ他の曲も用意している事を匂わせてから、「Get Back」に突入。
客席からの「アンコール!」の声に応えて、足達さんがドラムを叩きだした。それは、この特集ステージのオープニングで演奏されたヴァージョンとは違う、少しアップテンポの「Two Of Us」だった。ポールが歌うサビのところでは、ポッキーさんがお腹の底から出すような声で、ポールをまねて歌い、客席からは喚声が響く。
そんなレアな「Two Of Us」を最後に、「LET IT BE」アルバム特集は終了。客席からの拍手に見送られて、ターコイズは家に、じゃなくて楽屋に帰っていった。
ターコイズの演奏は、アルバム特集ではない通常のステージでも、その曲に合わせて、可能な範囲で楽器を変え、担当するパート(ベースやリード・ギターなど)も入れ替わる。そこには、“本物のビートルズがしていたように”というこだわりが感じられる。そんな彼らが見せてくれるアルバム特集は、そのこだわりが拍車をかけ、サウンドだけでなく、いろんな角度から楽しませてくれるのだ。
映画「LET IT BE」のシーンにもあったように、ビートルズのメンバー間で意見を戦わせたり、試行錯誤しながら数々の名曲が生み出されたのだと思うと、完成された曲をこうして出来る限り忠実に演奏しようとするターコイズの姿勢にも拍手を贈りたくなる。