「Can't Buy Me Love」、「I Feel Fine」とビートルズ初期の楽しいナンバーが続けて演奏されたあと、小熊さんが「次は、ジョージがリード・ヴォーカルをとった、デビュー前に演っていたナンバーですね」と紹介。「リクエストを頂いたんですけど、10年ぶりにこの曲を歌うとは、、、」と不安そうな三分一さんをなだめつつ「Three Cool Cats」を、そして続けて「You're Going To Lose That Girl」が演奏された。
MCでは、不安や緊張を訴えるメンバーだが、ブランクなど感じさせない、むしろ、体に染みこんでいるような演奏は、長い間に蓄積された経験を感じさせた。
「You're Going To Lose That Girl」が終わると、黒沢さんはリッケン・ベースに持ち替えた。三分一さんが「ほんでは次の曲はビートルズでは中後期の曲ですね。ビートルズが日本に来て今年でちょうど40周年になりますが、日本に来た1966年、ちょうどその頃に出来上がっていたアルバム「REVOLVER」の中から2曲お届けしたいと思います。」と進行する。
と、その話しの流れから、黒沢さんが、66年の日本公演は何故あの選曲だったのかという事を教えてくれた。そして「僭越ながら私、歌わさせていただきます。聴いてください。ここ、そこ、全部」と言って始まったのが「Here ,There And Everywhere」。黒沢さんが、高音のメロディーを優しく歌っていく。続いて、ツイン・リード・ギターが印象的な「And Your Bird Can Sing」では、ジョン役の小熊さんがメイン・ヴォーカルをとる。
ABBEY ROADオープン当時からしばらく出演していたという小熊さん。「その後、ジョン役のヘルプで何度が出演したことがあったんですが、正式にABBEY ROAD出演するのはそれ以来で10年ぶりです。」と語る。 そして、ABBEY ROADには初出演という、リンゴ役のキンちゃんこと金子さんを紹介し、「I Wanna Be Your Man , Ringo !!」とコール。三分一さんのギターが鳴り「I Wanna Be Your Man」が演奏された。金子さんは、少し上を向きながらリンゴのように歌い、黒沢さんと小熊さんが中央のマイクに駆け寄りコーラスを入れていく。
「I Wanna Be Your Man」が終わるとすぐ、各楽器の音を少し出したり、黒沢さんがマイク・チェックをするようにハミングしたりと次の曲の準備。というか既に次の曲へと入っている。この雰囲気は、そう!「Get Back」だ。演奏はもちろんだが、演奏後のポールの挨拶やジョンのジョーク(小熊さんは、そのジョンのコメントをメモした用紙を取り出し、やや小声で恥ずかしそうに読み上げていました。)などと、細かいところまで再現するというマニアックぶり!
「Get Back」の演奏が終わると、黒沢さんから「(小熊さんが最後のジョンのコメントを再現したのが)いいですね〜。恥ずかしかったでしょ。出だしからだんだん、だんだん恥ずかしくなっていくところがねっ、とてもかわいくって、、、好きです。」と告白され、更に照れる小熊さんだったが、次の曲「Any Time At All」の歌い出しをカッコ良くキメて、また力強さを取り戻していた。
その勢いのある曲「Any Time At All」のあとは、柔らかなジョージのナンバー「Something」へと続いた。
黒沢さんは、ステージ向かって右のピアノに移動。小熊さんがベースを持つ。三分一さんが「この1回目のステージの最後を飾る曲は、ピアノの美しいナンバーでいってみたいと思います。3年前になるかな?「レット・イット・ビー」のアルバムをリニューアルして「レット・イット・ビー...ネイキッド」というのが出ましたけれども、アレいいですね〜」と、話題がネイキッドに移ると、黒沢さんが慌てて「今回はその(ネイキッド)ヴァージョンは演らないよぉ〜。」と指摘。三分一さんは「うんうん、ソレぼくも出来ないから、、、そうそう、最近みんな、きっとネイキッドばかり聴いてると思うから、敢えて昔のヴァージョンでお届けします。」と「The Long And Winding Road」を紹介する。すぐに黒沢さんが伸びやかに歌い出し、ゆったりとした雰囲気でファーストステージが終わっていった。
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セカンドステージは、「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」〜「With A Little Help From My Friends」のメドレーで始まった。
小熊さんが、「それではガラッと雰囲気を変えて、次は初期の曲を2曲続けて、みなさんが手拍子しながら楽しめるナンバーですね。」と話すと、黒沢さんが「これは僕のカウントからですか?んー、がんばってカウントさせていただきます。」と宣言。その宣言通り、弾んだ元気なカウントで「All My Loving」が演奏され、一気にビートルズ初期の軽快なムードが戻ってきた。
続いて、ビートルズが初めてレコーディングしたナンバーだという、ジョンが歌う「Ain't She Sweet」。間奏のリード・ギターもカッコいい!
その後も初期のナンバーが続く。「Till There Was You」ではポールのソフトな歌声を黒沢さんが再現し、一方「Help!」では小熊さんがジョンの激しさを歌っていく。
こうやって次々にメイン・ヴォーカルが変わり、いろんなタイプの曲が演奏されるのも、ビートルズバンドだからこその業なのである。しかも4人全員がヴォーカルをとるのだからスゴイ!
「Help!」の後には、お誕生日の方をお祝いするコーナーが用意されていた。まずは、三分一さんがお誕生日の方、5名さまを紹介する。そして「Happy Birthday (Saturday Club Version)」が演奏され、歌いながらお誕生日の方の名前をひとりひとり呼んでお祝いしてくれるのだ!ステージから名前を呼んでお祝いしてもらえる嬉しさはもちろんのことだが、ビートルズ・マニアにとっては、この選曲、シビレるのではないだろうか。 というのも、この曲は、ビートルズが『Saturday Club』というBBCのラジオ番組に出演した際、その番組の何周年記念かをお祝いするために演奏した曲なのだそう。そんなレアなナンバーをさりげなく取り入れている所が、ビートルズを知り尽くした BlueDusts ならではの演出と言える。
そんな「Happy Birthday (Saturday Club Version) 」に続けて、メドレーで「Birthday」が演奏され、今度は、お店からのプレゼント“花火付きのフルーツ”が、お誕生日の方のテーブルに運ばれてきた。
賑やかなお祝いの後に続けて演奏されたのは、ジョージの有名な曲「While My Guitar Gently Weeps」。やはり人気があるナンバーで、一際たくさんの拍手が巻き起こった。
リーダー黒沢さんが、「次は、珍しくジョンとジョージが歌ってるナンバーですね。小熊さんは実直なMCをする事で知られていますから」と言って小熊さんに曲紹介を促す。すると、小熊さんは渋い声で「はい、You Really Got A Hold On Me」と丁寧に紹介する(黒沢さんのおっしゃる通り“実直”という言葉がピッタリのMCでした)。
フロントの3人を静かに見守っていた金子さんは、三分一さんのギターが鳴り出したところで演奏に集中し、安定したリズムを刻む。それぞれで一生懸命に演奏している姿に目が離せないほど、良い意味での緊張感が漂っていた。
が、この曲が終わるとすぐ、「はぁい、お疲れさまでしたっ。」と三分一さん。思わぬ言葉に客席からも笑い声が聞こえてきたが、果たしてそれは誰に向けた言葉だったのか?。1曲歌いきった自分に思わず言いたくなったのか、はたまた、一緒にハモってくれた小熊さんへの気持ちだったのか??そのへんの真相は不明ではあるが、そんな演奏の合間のヤリトリから、メンバーの個性を少し垣間見れた気がした。
そして、セカンドステージ最後の曲は、黒沢さんがピアノに移り「Let It Be」。始めは、黒沢さんがピアノのみで歌っているが、次第にコーラス→金子さんのドラム→小熊さんのベース→三分一さんのギターが加わり、スケールが広がっていく。ジーンと聴き入って2回目のステージが終了した。
黒沢さんが、今日の天候のこと(東京は雷雨の予報だった)を気にしながら「(店内(地下)にいるので分からないが、もし外が大雨だったら)お足元の悪い中、たくさんの方にご列席いただきまして、御礼申し上げます。」と、感謝の気持ちを伝える。そして「次の曲は、最近ポール・マッカートニーがステージで演っているそうなんですけど、どんなふうに演ってるんですかね。」と話し「I'll Follow The Sun」をさわやかに歌ってくれた。
「I'll Follow The Sun」に続いて「You Can't Do That」が演奏され、「You Can't Do That」では、小熊さんがメイン・ヴォーカルをとり、間奏のリード・ギターも務める。
「You Can't Do That」を熱唱した小熊さんは、「はい、ありがとうございました。「I'll Follow The Sun」というナンバーと、1回目のステージにお届けしました「Can't Buy Me Love」のBサイドに入っている「You Can't Do That」、これは初期の強気のジョンのメッセージですね、そんなナンバーをお届けしました。さて、今度はサンちゃん(三分一さん)のヴォーカルですね。チャック・ベリーのカヴァー・ナンバーになりますが、非常に軽快なナンバーですので、よろしかったら手拍子でお付き合いください。」と、「Roll Over Beethoven」を紹介。リード・ギターで始まるこの曲。イントロを弾く三分一さんを見守ったあと、たくさんの手拍子で大いに盛り上がった。
ノリノリの「Roll Over Beethoven」に続いて、あのジョンが弾くギター・リフが聞こえてくると、「ギャぁぁ〜!」と絶叫したくなる「I've Got A Feeling」。今までは、さわやかに楽しそうに演奏していた黒沢さんだったが、この曲では渾身の力を込めて歌い上げ、身震いするほどの迫力で店内を震撼させた。
迫力の「I've Got A Feeling」の余韻が漂うなか、小熊さんと三分一さんは、それぞれのギターにカポをつけて、次の曲の準備へ。三分一さんは、「さっきRoll Over〜で失敗しちゃったからなぁ、次で挽回しないと!」と言い、自分に気合いを入れてから、「Here Comes The Sun」に挑んだ。
キラキラした朝日がイメージできるような美しいギターを弾きながら三分一さんが歌うと、黒沢さんと小熊さんがコーラスを入れていく。
「Here Comes The Sun」に続いてはポールのナンバー。黒沢さんが、身振り手振りを入れて「Hello Goodbye」を歌う。
「Hello Goodbye」が終わったところで、黒沢さんが「“歌がリンゴっぽくていいよ”と書いてあるリクエストカードを3通もいただきましたよ、キンちゃん。“金子”っていう名前だから“キンちゃん”なんですね。ぼくは“黒沢”なので“クロちゃん”」などと話しながら、次にリンゴのナンバー「Yellow Submarine」でヴォーカルをとる金子さんを紹介。
愉快なこの曲では、原曲にあるような効果音や、間奏の潜水艦の中での雰囲気を出すために、鼻をつまんでみたりと工夫しながら、4人で順番にいろんな声を出していた。
楽しい「Yellow Submarine」の後は、ジョンのナンバー「The Ballad Of John And Yoko」が続く。